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貯蓄に余裕ができたら一部繰上返済

ローン返済開始後も着実に貯蓄を進めて、ある程度余裕ができたとき、あるいは思わぬ臨時収入があったときなどには、一部繰上返済でトクすることを考えましょう。返済額の増額による期間の短縮と同様に、一部繰上返済の効果もたいへん大きいのです。繰上返済にはふたつの方法があります。ひとつが毎回の返済額を変えずに返済期間を短縮する「期間短縮型」で、いまひとつが残りの返済期間を変えずに毎回の返済額を減らす「返済額圧縮型」です。どちらも通常に返済するときに比べて完済までの支払い利息分をカットできる点では共通していますが、カットできる金額は期間短縮型のほうが圧倒的に多くなります。

ですから、当面いろいろな事情があって毎回の返済額を減らしたいというニーズのある人以外は、基本的に期間短縮型を利用して繰上返済するのがいいでしょう。そこで、まず期間短縮型からその仕組みを紹介しておきましょう。ここからも分かるように、期間短縮型では繰上返済するお金がすべて元金返済分に充てられます。たとえば、金利3%、35年返済で3000万円借り入れている人の毎月返済額は11万5455円です。この人が3年経過した36回目の返済時に、99万9710円を繰上返済すると、これは37回目から58回目までの22回分の元金に相当します。つまり、繰上返済によって22回分の支払いをカットできるわけで、本来その間に支払うべき利息を支払わなくてもすむようになります。

22回分の支払額は、254万0010円になります。この支払いを元金分の99万9710円でクリアできるわけですから、その差額分の154万300円の利息支払いをカットできる計算。つまり、それだけトクできるわけです。しかも、残りの返済期間が22回短縮されるのですから、安心感も高まります。返済額圧縮型も繰上返済するお金でローン残高が減ることは変わりませんが、残りの返済期間が変わらないので、繰上返済分を差し引いた元金で毎月の返済額を再計算することになります。残りの返済期間が変わらない分、繰上返済効果は小さくならざるを得ません。

期間短縮型と同じ条件で36回返済時に99万9710円を繰上返済する場合、36回返済後の残高2847万8058円から99万9710円を差し引いた残高2747万8348円をもとに、残り32年、金利3%で再計算すると、毎月の返済額は11万1402円になります。毎月の返済額を当初より4053円減額できます。したがって、トクする金額は、55万6642円になります。毎回の返済額はたしかに若干減ってラクにはなりますが、その分トクする金額は期間短縮型の3分の1ほどにダウンしてしまいます。当面現在の返済額を変えなくてもいいのであれば、期間短縮型を利用するほうが断然おトクというわけです。

フラット35ならではの費用もある

民間のローンの大半では団体信用生命保険への加入が義務化されています。ただし、保険料は金利に含まれるので、ローン利用者が別途支払う必要はありません。これに対して、住宅金融支援機構と民間が提携したフラット35では加入の義務がありません。しかし、やはり団体信用生命保険に加入しておいたほうが安心ですから、ぜひとも加入しておいていただきたいところですが、その場合には当然保険料の負担が出てきます。フラット35では、住宅金融支援機構の団体信用生命保険になり、こちらは火災保険のように一括払いではなく、年払い方式になります。

団体信用生命保険は万一のことがあった場合に、その時点のローン残高相当の保険金が下りて、家族にはローン支払いのないマイホームが残る仕組みですが、返済が進んでローン残高が減ると保険金額も減ることになるため、当然保険料も安くなっていきます。これに対して、団体信用生命保険が義務化されていない民間ローンの場合には、表示されている金利のなかに保険料は含まれていません。もちろん希望すれば加入できますし、安心のためにも加入しておいたほうがいいのですが、その際には金利が0・30%から0・35%程度高くなります。

フラット35を利用するときには、フラット35の技術基準に合致した住宅かどうかの物件検査が必要になります。これは機構が認めた第三者機関に検査を依頼することになりますが、検査料は通常は一戸当たり2万円から3万円程度です。一般の民間ローンにはない負担ですが、その分、設計段階、工事中、完成時の三段階で検査してくれます。耐震構造偽装問題など、建物に関する不安が高まっている時代ですから、そんな不安を少しでも小さくする費用としては、まあ仕方のない負担といえるのではないでしょうか。

住宅ローンをめぐる環境は年々変化する

住宅ローンをめぐる環境は年々さまざまな点で変化します。そうした動きを敏感に察知して対応しないと、資金計画や返済計画に支障が生じることもあります。たとえば、住宅ローン減税制度については、2009年度に大幅に拡充され、その後徐々に縮小されてきました。2013年入居だと10年間の最大控除額は200万円でした。それが、2014年4月の消費税の増税に対応して、10年間で最大400万円に、大幅拡充されることになっています。実際、過去の歴史をみると、バブル期には控除額は6年間で最高160万円程度にとどまっていたのが、バブルが崩壊した後には大幅に拡充されました。一時は15年間で最高587・5万円まで増えたことがあったのです。

この大きな変化があったときには、入居時期が1か月違うだけで、控除額の合計が400万円以上違ってくるといったケースも発生しました。12月に入居した人は最高160万円の控除額だったのに、翌年の1月に入居した人は587・5万円になるといった落差があったわけです。事前にそうした情報を入手していた人のなかには、12月に入居可能だったのに、あえて翌年まで入居を延期して控除額を増やした人もいます。それを知らないで12月に入居してしまい、あとで切歯扼腕しても間に合いません。というのも、住宅投資の動向は景気に大きな影響を与えるため、景気の悪いときには各種の税制を優遇して住宅建設を促進する政策がとられます。

反対に、景気が順調だと優遇策は次第に縮小されます。バブル崩壊後も住宅ローン控除の拡大にみられるように、各種の優遇策がとられました。その後、ゆるやかな景気回復のもとで優遇策は次第に縮小されたのですが、2008年のリーマンショックによる世界的な経済危機を受けて、またまた優遇策が拡充される方向に舵が切られたのはすでにふれた通りです。しかし、いつまでもこうした優遇策が継続されるわけではありません。現在の経済情勢の深刻さを考えれば、当面は各種の優遇策が継続されるでしょうが、長い目でみれば、それは政府の財政状況をますます悪化させます。ですから、景気回復傾向が明確になれば、優遇策は徐々に縮小や廃止に向かうはずです。

少しでも有利な環境で購入し、できるだけトクするためには、そうしたタイミングを見極める目も欠かせません。税金関係では、登記時の登録免許税や契約時の印紙税についても軽減措置が実施されたり、また情勢によって廃止されたりします。これは何も国税だけに限ったことではありません。固定資産税・都市計画税は地方税ですが、自治体によっては、住宅取得・建設を促進するための優遇策を実施しているところもあります。たとえば、東京都では、2008年1月1日までに東京23区内で住宅を購入したり、建築した人の建物に関する固定資産税を3年間免除する制度を実施してきましたが、2008年1月2日以降廃止されました。こちらは、今後再び実施される可能性はあまりなさそうです。

住宅ローンそのものについても、2007年4月の住宅金融公庫の独立行政法人住宅金融支援機構への移行を受けて、ますます新商品開発競争が激化してくるでしょうし、金利引下げ制度などの各種の競争も続くはずです。同時に、金利は世界的な経済危機のなかで、極めて低い水準が続いていますが、危機克服にメドが立てば、段階的に金利が上がっていくのは間違いないでしょう。マイホーム取得を考え始めたときから、経済新聞などで金利や金融、税制の動向などをチェックしていく必要があります。変化をリアルタイムにキャッチし、それに即応した対応がとれるようにしておくのが、賢いローン利用の必須条件ということになりそうです。

賃貸住宅と分譲住宅、どっちがお得?

一般的には、賃貸住宅に比べると分譲住宅や注文住宅は設備・仕様がかなり良くなっています。安全・安心や省エネなどに優れた住まいが多いので、より安心して、快適な生活を送ることができ、しかも良質な住宅を手に入れることができ、資産形成の一環にもなります。もちろん、大きな借金を負うことになるのですから、不安もつきものでしょうが、勇気と自信を持つことも大切です。とはいえ、自信過剰になると、失敗することもあるので、その点だけは注意してください。安定した収入のある人は、ほとんどの場合、問題なく住宅ローンを組むことができるのですが、必ずしもそうではないこともあります。

これは、分譲住宅を買った人たちのうち、住宅ローンの申込みを行った人が希望した融資を受けられたかどうかを聞いたものです。2011年度の調査では、「断られた経験はない」とする人が82・5%に達していますが、なかには、「融資条件を厳しくしなければ融資不可」という人も11・7%、「融資は一切できない」という人も4・8%いました。条件によっては審査に合格しなかったり、融資の減額や金利引下げ幅の縮小など、融資条件が厳しくなったという人も少なくないのです。これには、さまざまな要因が考えられます。

金融機関では、審査に当たって、その人の個人的な属性、社会的属性などさまざまな面から審査を行っています。経営の安定した会社に長年勤め、それなりの地位を確保している人であれば、まず問題なく融資を受けられますが、最近転職したばかりで現在の会社の勤務年数の短い人だと難しいケースも出てきます。金融機関によっては、自営業というだけで経営面での不安から審査が厳しくなることも少なくないようです。さらに、年配の人であれば、定年後も返済を続けられるのか疑問視され、返済期間を短くしなければ融資できないといったケースもあるようです。こうした金融機関の対応については、直接金融機関を訪問すれば、ある程度感触を探ることができます。

自分の条件をキチンと説明すれば、希望する融資が可能かどうか、現場の担当者のレベルである程度判断できるはずです。また、住宅販売会社の担当者も実務的に住宅ローンの申込みを何件も行っていますから、経験的に分かっています。できれば、一度は金融機関に足を運んでみましょう。なかには、住宅販売会社で決めてしまい、最後まで金融機関の窓口には行かなかったという人もいます。それでは、住宅販売会社の思うツボです。幸い、最近は金融機関でも住宅ローンの窓口は平日遅くまで営業していたり、休日にも相談会などを開催するケースが少なくありません。そんな機会を有効に活用しましょう。

家賃を払い続けるのはもったいない、家賃をローンに代えられないか

住宅取得を考えるときには、シッカリとした資金計画・返済計画を立ててキチンと返済を終えられるようにしなければなりません。だからといって、過度に神経質になるのも困りものです。「石橋を叩いて渡る」といった慎重さは必要ですが、ある時点では、「賽は投げられた」といった覚悟を持って、ルビコン河を越える勇気も必要になってきます。そうしないと、事態はいつまでたっても前に進みません。現在、賃貸住宅住まいである程度の家賃を支払っている人なら、その家賃の範囲内で住宅ローンの返済を行うことができる場合が少なくありません。それも、住宅価格が安く、超低金利が続いている今だからこそ可能という面もあります。そのチャンスを逃してしまうと、当分現在のような恵まれた環境はやってこないかもしれません。

しかも、年齢が高くなるほど、住宅ローンの返済期間が短くなるなど、いろんな面で難しい問題が出てきます。国土交通省が毎年実施している『住宅市場動向調査』によると、分譲住宅を買った人のうち、64・0%の人が、「住宅ローンがある」と回答しています。この調査項目においては、「無回答」が30・2%に達しているので、それを差し引いて再計算すると、9割以上の人が住宅ローンを利用していることになります。親の援助などで家を買う場合や、若くして事業に成功して全額現金で購入できる人もいるでしょうが、大多数の人は住宅ローンの負担を覚悟した上で、住宅取得に踏み切っているのです。

実際、分譲住宅を買った人の大半はそれまで賃貸住宅に住んでいたわけですが、その人たちがいくらの家賃を支払っていたかをみると、2011年度の平均では7万9472円でした。「7・5万円以上10万円未満」という人が30・0%と最も多く、次いで「5万円以上7・5万円未満」が28・7%で、「10万円以上」という人も25・9%います。これだけの家賃を毎月キチンと払っている人であれば、住宅ローンの返済もそんなに難しくはないはずです。賃貸住まいで、これまで家賃の支払いに一度も遅れたことはないという人であれば、それなりの自信を持っていいのです。家賃支払額の平均が7万9472円ですから、8万円とすれば、その家賃は金利1%、35年返済のローンだと2830万円の借入額に相当しますし金利2%でも2410万円です。

頭金が500万円あれば、金利1%だと3000万円台の物件に、金利2%でも3000万円近い住宅を手に入れることができるのです。家賃を10万円以上払っている人だとどうでしょうか。12万円のケースでみれば、金利1%で4250万円、金利2%でも3620万円の借入れが可能です。おそらく年収も少し高いでしょうから、頭金を1000万円準備できるとすれば、金利1%のローンでは5000万円台の住まいに手が届く計算。エリアにもよりますが、これならいまの賃貸住宅よりグレードの高い物件に住み替えられるのではないでしょうか。先にふれたように、現実には購入したあとには、税金などの各種の負担も出てきますが、概算ではこうしたことがいえるのです。

10年先、20年先を見据えた生活設計を話し合っておく

住宅ローンの返済計画、その一方での子どもの教育費や老後資金の準備などを考える上では、長期的な生活設計が必要になってきます。自分たちの生活が10年後、20年後、30年後にどうなっているのかを具体的にイメージして、それへの準備を行っておく必要があるわけです。家族がある場合にはまずは夫婦で、そして子どもがある程度の年齢に達しているのであれば、子どもたちの将来の希望なども聞きながら、具体的な肉づけを行っていくようにしてください。現実には、その生活設計のない人が少なくありません。

生命保険文化センターの調査によると、「生活設計あり」と答えた人は4割ほどに過ぎません。半数以上の人は「生活設計なし」としているのです。そんな状態で何千万円という高い買物を、しかも住宅ローン付きで買っていいのでしょうか。決してそんなことはないはずです。今後の生活設計を、できるだけ具体的なものにしておきましょう。少なくとも住宅ローンの返済が終わる年までの毎年の家計の見通しを数字に落とし込んでみてください。一番左側に家族全員の年齢を書き出します。次に、その年齢に応じて想定されるイベントをリストアップ、それに必要な費用を記入します。

たとえば、子どもの入進学などに伴う費用、またクルマを持っている人なら、その買換えにかかる費用、さらに、何年かに1回は家族で海外旅行したいという人なら、それを書き出すのもいいでしょう。そのほか、住宅ローンの返済、生活費や教育費などの項目を作成します。それに対して、収入がどうなっていくのか、概算でいいですから記入していきます。比較的若い人なら、年率1・2%の年収アップでもいいかもしれませんし、年配の人なら50歳以降は横ばい、もしくはダウンを想定しておいたほうがいいでしょう。その結果、毎年の収支がどうなるのかを計算し、最後の欄にはこれまでの貯蓄額にその年次の余剰金または不足分を差し引きして貯蓄残高として記載します。

住宅を買った年、また大きな支出があった年は、単年度では赤字になっても仕方がありませんが、この一番右端の貯蓄残高がマイナスになってしまうと、家計破綻を意味します。万一のケガや病気、失業などに備えて、収入が途絶えても半年程度は生活していけるだけの残高を確保しておくべきであるのはいうまでもありません。年齢が高くなってくれば、老後への準備が必要ですから、貯蓄残高を1000万円の単位に乗せる必要があるでしょう。書き込み用も用意しておきましたので、時間をみて、ぜひご家族で記入してみてください。

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