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金利の低さだけで選んでいる人が大多数を占めるのが現実

住宅ローン選びを業者任せにした結果、どんなことが起こっているのでしょうか。住宅金融支援機構の調告から、借り入れた住宅ローンを選んだ決め手をみると、「金利が低いこと」が71・7%で断然のトップに挙がっています。それに、「住宅・販売事業者に勧められたから」が27・7%で続いています。つまり、業者のいうままに、金利の低いローンを利用しているといっていいでしょう。もちろん、前々項でふれたように、住宅ローンは金利が1%違うと、総返済額でみれば数百万円の差になります。0・1%、0・2%の違いでも決して馬鹿にできませんから、少しでも金利の低いローンを利用したいというのは、当然のことでしょう。しかし、それがたいへんリスクの人きいローンであればどうでしょうか。

住宅ローンには、主に三つの金利タイプがあります。ひとつが、変動金利型。市中の金利動向に応じて適用金利が変わるローンです。そうしょっちゅう金利が変わり、返済額も変わってしまうと家計への影響が大きいので、金利変化があっても、5年間は返済額を変えずに、5年に1回見直すことになっています。その際も、返済額が増える場合には増額率を25%までに抑えるというルールがあります。逆にいえば、6年目からは、返済額が最大25%まで増える可能性があるということです。たとえば、当初の毎月返済額が10万円であったとすれば、最悪の場合6年目からの返済額が12万5000円になってしまうのです。

金融機関からみれば、市中の金利変化に応じて適用金利を変えることができるので、常に一定の利ざやを確保できます。金融機関にとってはリスクがないわけで、その分金利を低くすることができます。2013年5月の金利は、店頭表示金利が2・475%ですが、金利引下げ制度によって実際には、メガバンクなどでは0・875%で利用できます。ふたつめが固定期問選択型。これは、当初の2年、3年、5年、7年、10年などの特約期間は金利が固定しています。その間に市中の金利が上がったとしても、適用金利が上がることはありません。固定期間が終わったときには、再び固定期間選択型にするか、変動金利に切り替えることができます。

原則的には、固定期間が短いほど金利が低く、固定期間が長いほど金利か高くなります。2013年5月の金利をみると、金利引下げ後の実質金利は固定期間2年が1%前後、10年が1・40%程度になっています。変動金利型には、返済額の増額率を25%に抑えるというルールがありますが、固定期間選択型にはありません。固定期問2年もので、その2年問で金利か大幅に上昇すれば、返済額が3割、4割と増えてしまうリスクがあります。固定期間の短いタイプは変動金利型と同じように、たいへん金利が低く、魅力があるのですが、その分リスクも小さくないということです。いまひとつが、全期間固定金利型。借入時の金利が完済まで変わらない金利タイプです。適用金利が変わりませんから、当然返済額も変化しません。利用者からすれば、返済額が変わることがないので、安心して利用できるローンといえるでしょう。

ただし、残念ながら、金利は変動金利型や固定期間選択型に比べると若干高くなります。全期間固定金利型の代表格ともいうべきフラット35は、2013年5月現在、35年返済を利用する場合で最低金利は1・81%になっています。以上の金利タイプを金利水準とリスクの大小で整理すると、図のようになります。変動金利型や固定期間選択型の固定期間2年、3年などは金利が低いのですが、その分、利用者からすると返済額増額のリスクが大きくなります。反対に、全期間固定金利型は、金利は若干高めになっているのですが、完済までの返済額が借入時に確定しているので、金利上昇によるリスクは小さく、安心して利用できます。固定期間選択型の固定期間10年は両者の中間に位置づけることができます。金利やリスクもほどほどということです。

リスクをとって、金利の低い変動金利型や固定期間選択型の固定期間の短いタイプを利用するか、リスクを回避するために、やや金利の高い全期間固定金利型をとるか、悩ましいところですが、実際の利用状況をみると、図のようになっています。2012年末までは、景気も回復しそうにないので、当面は低金利が続くだろうと考える人が多く、変動金利型の利用者が半数を超えていました。それが、2013年に入って様相が変わりつつあります。アベノミクスで、景気にほのかに明るさが見えるようになり、いずれ金利が上がるのではないかと考える人が増えているのでしょう。変動金利型の利用者がやや減少し、代わって固定期間選択型の利用者が増えています。変動金利型を利用していて、金利が上昇すると返済額が増えるのですから、これは当然の変化といっていいのではないでしょうか。