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変動金利型には未払い利息発生のリスク

変動金利型は、借人後に金利が上がると、6年目からの返済額が最大では25%まで増えるのですが、実は、それよりも、もっと恐ろしい事態もあり得るのです。それが、”未払い利息”の発生です。あまり耳慣れないコトバかもしれませんが、約定通り返済しているのに、元金がまったく減らないどころか、逆に、実質的に元金が増えてしまうことを意味します。どういうことなのでしょうか。図をご覧ください。3000万円、金利0・875%、35年元利均等・ボーナス返済なしで利用した場合、当初の返済額は8万2949円です。これは、5年間変化しません。しかし、この5年の間に金利が変化すると、それに応じて適用金利も見直されることになります。返済額は変わらないのですが、金利が上昇すると、毎回の返済額のうち元金分か減少し、利息分か増加します。元金がなかなか減らない状態になるのです。

反対に、金利が下がれば、返済額のうちの元金分か増えて、利息分か減少、元金の減り方が早くなります。大きく金利が上がった場合には、毎回の返済額がすべて利息分に充てられ、元金はまったく減らないといった事態が起こり得ます。むしろ、毎回の返済額が利息分にも足りず、利息が積み増しになることもあります。それが未払い利息ということです。図のケースでみると、借入れから1年が経過した時点で、金利がまったく変わらない場合、13回目の返済額8万2949円のうち、元金分は6万1611円で、利息分か2万1338円になります。それが、金利が1%上がると、利息分は4万5725円に増え、逆に元金分は3万7224円に減少します。

さらに、2%上がると、利息分は7万112円に増え、元金分はわずか1万2837円に減ってしまうのです。3%上がった場合はどうでしょうか。利息分だけで9万4498円と、毎月返済額の8万2949円を上回ってしまいます。この不足分の1万1549円が、未払い利息ということです。毎月、キチンと約束通りに返済しているのに、実際には毎月1万円以上残高が増えてしまう状態といっていいでしょう。この未払い利息は5年ごとに精算することになっています。現金で支払うことができればいいのですが、そうでない場合には、6年目からの返済額の計算時に、未払い利息を加えた額を元金として算出することになります。背筋が寒くなるような事態ですが、いったいどれくらい金利が上がると未払い利息が発生するのでしょうか。

それは、毎月返済額をその時点のローン残高で割って、12か月を掛けて求めることができます。このケースでみると、毎月返済額が8万2949円で、12回終了時の残高は2926万4161円ですから、図にあるように3・4%がボーダーラインになります。適用金利が3・4%以上になると、未払い利息が発生します。当初の金利が0・875%ですから、2・5%ほど上がると未払い利息が発生するという計算です。未払い利息が発生しないまでも、金利が上がると、返済額に占める元金の割合が小さくなり、返しても、返しても、なかなか元金が減らない状態になります。これからは、後に詳しくふれるように、金利が上がる可能性が高いのですから、十分に注意しておきたい点です。

しかし、実際に、こうした金利上昇リスクを理解していない人が少なくありません。住宅金融支援機構の調査によると、いまみてきたような「適用金利や返済額の見直しルール」を、「十分理解」「ほぼ理解」しているという人は、合わせて62・9%。ある程度の人は理解しているのですが、「理解しているか不安」「よく理解していない」「まったく理解していない」と回答した人も37・1%に達しています。また、「将来の金利上昇に伴う返済額増額への対応策」については、「理解しているか不安」「よく理解していない」「まったく理解していない」の合計が47・7%になっています。半数近くの人が、具体的にイメージできていないことになります。良心的な担当者であれば、変動金利型のこうしたリスクについてもある程度説明してくれるはずです。

それをシッカリと聞いて、十分に理解しておくようにしましょう。できれば、借入後に金利が1%上がったときにどうなるのか、2%上がったときはどうかなど、具体的に試算してもらうのが安心。その場合、返済中の元金と利息分の割合がどう変化し、6年目からの返済額がどうなるのかなども確認しておきましょう。最近は、金融機関や住宅金融支援機構のホームページなどに、住宅ローン計算のシミュレーターがついています。そこに自分たちの借入条件などを人力すれば、返済額をはじき出すことができるようになっています。時間をみて、いろんな事態を想定しながら、自分たちの考えている住宅ローンについて、さまざまな面から検証してみましょう。