記事一覧

「自己責任」意識の欠如が借入後のローン事故につながる

住宅ローンの利用には、「自己責任」の意識の確立が不可欠です。前項までにふれたような、住宅ローンのリスクを十分に理解し、一定の対策を立てた上で借り入れるようにしなければなりません。それがないまま、「いまが買い時」「今でしょ」といった勢いだけでローンを借りてしまうと、たいへんなことになりかねません。住宅ローンの返済は20年、30年と続きます。その間には、どんな変化が起こるか分かりませんし、さまざまな事態を想定しておく必要があります。たとえば、変動金利型などを利用した場合には、金利が上昇して返済額が増えても問題がないか、また小さな子どもたちがいる家庭であれば、教育費支出が増大しても家計を無事に回していくことができるかなどをシッカリと確認しておきましょう。

現実には、それができていないまま住宅の購入、ローンの借入れを実行した結果、ローン返済に行き詰まって、にっちもさっちもいかない困った事態に陥っている人が少なくありません。住宅金融支援機構のフラット35や、前身である住宅金融公庫の融資を利用している人のうち、返済に困って条件変更などの相談をした人、その結果条件変更の特例の適用を受けた人の件数の推移を示しています。2000年代の初頭には年間で20万件から30万件台の相談があったのが、最近は10万件台に減少しています。しかし、それでもまだまだ高い水準といわざるを得ません。

しかも、相談しても、実際に返済方法変更の適用を受けて、一時的に返済額を減額するなどの特例の適用を受けられた人は、2011年度は年間1万件以下にとどまっています。住宅金融支援機構は半公的な機関ですから、民間に比べてさまざまな特例が用意されているのですが、誰でもそれを利用できるわけではありません。業績不振やリストラなどで収入が大きくダウンしたなどの事情がない限り、特例の適用を受けるのは簡単ではないのです。そうなる前に、シッカリとした返済計画を立てておく必要があります。

民間でも、「中小企業金融円滑化法」に基づき、住宅ローン利用者の返済猶予などの対応がとられるようになりました。法律自体は、2013年3月末で期限切れとなり終了しましたが、金融庁によると、2012年9月末段階で全国の金融機関に対して約34万件の条件変更などの申込みがあり、約27万件が返済期間延長による返済額の減額などの実行に至ったそうです。しかし、返済猶予といっても債権放棄などで返済をチャラにしてくれるわけではありません。あくまでも一時的な軽減に過ぎません。その点をシッカリとわきまえて計画を立てたいものです。